小林 伽奈さんが屋外でカメラを持ち、撮影現場で声をかけている様子

Interview — No.010

「今このとき」を、
未来に残る写真へ。
長野県拠点に活動する、
女性フォトグラファー。

小林 伽奈カメラマン / ロケーション撮影・家族写真2026.05

18歳の頃からカメラに触れ、19歳で長野県の老舗写真館へ。ライト、セレクト、編集、仕上げ、婚礼、学校撮影。華やかな一枚の裏側にある地道な工程を、現場で積み重ねてきた小林伽奈さん。現在は長野を拠点に、再び自身の撮影活動を形にしていく準備を進めている。小林さんが大切にしているのは、写真を撮る前の時間だ。事前のヒアリング、ロケーションの確認、子どもが緊張しているなら最初に一緒に遊ぶこと。写真に写る自然な笑顔は、偶然ではなく、安心できる関係性から生まれている。

"日常を形に残す。自然体の笑顔や、その家族らしい空気を写真にしたいんです"

— Kana Kobayashi
小林 伽奈さんのプロフィール写真。カメラを持って白背景で座っている様子

Profile

カメラマン

家族写真・ロケーション撮影・プロフィール撮影

18歳頃からカメラに触れ、19歳で本格的に撮影の道へ。長野県の老舗写真館で約4年間、アシスタントとしてライト、セレクト、編集、仕上げなどを学び、婚礼・学校撮影なども経験。その後、営業写真と個人撮影の両方に携わる。現在は長野を拠点に、新たな撮影活動の再開へ向けて準備を進めている。

撮影依頼から納品までの流れ
01
問い合わせ後、LINE・電話などで希望日程と撮影内容を確認
02
どんな写真を残したいか、事前にヒアリング
03
ロケーションや構図を確認し、当日の流れをプランニング
04
撮影当日は、被写体が安心できる空気づくりから開始
05
撮影後、撮って出しデータを確認しながら希望カットを選定
06
希望カットと小林さん自身のセレクトを踏まえ、レタッチ後に納品
撮影から納品までは、内容により変動するが目安はおおよそ数週間。撮るだけでなく、選ぶ時間まで含めて“残したい一枚”に近づけていく。

小林さんにとって、“いい写真”とは何ですか?

決めて撮る写真ももちろん大切です。ただ、私が特に大事にしているのは、撮影する対象の方の日常を切り取ることです。家族写真であれば、その家族らしい空気、自然な笑顔、ふとした表情。そういうものを形に残したいと思っています。

撮影中も、必要以上に声をかけすぎないようにすることがあります。もちろんポーズを決めていただく場面もありますが、7割くらいは自然体の姿を写したい。その人や家族が普段持っている雰囲気を、後から見返したときにも思い出せる写真にしたいです。

小林伽奈さん撮影作品。桜の下で子どもたちが自然に笑っているロケーション写真
小林伽奈さん撮影作品

撮影の中で、一番大切にしている工程はどこですか?

前準備です。撮影当日に初めて会う状態だと、お客様も緊張されると思うので、事前にどういう写真を求めているのかを聞き取ります。撮影場所の確認や、どんな構図で撮るかのプランニングもします。

特にお子様の撮影では、いきなりカメラを向けないこともあります。最初に30分くらい一緒に遊んで、ご家族ともお子様とも信頼関係をつくる。そこから「じゃあ写真を撮ってみようか」と入ることで、引き出せる表情が変わってくると思っています。撮影そのものだけでなく、安心して撮影に入れる環境づくりを大事にしています。

小林 伽奈さんが屋外ロケーションでカメラを構えている様子

他のカメラマンと比べて、特に違うと思う部分はありますか?

お客様に写真を選んでいただく工程は、あまり多くないかもしれません。撮影後に、撮って出しのデータを一度見ていただいて、「これは必ず欲しい」という写真に印をつけてもらいます。もちろん最終的にはレタッチして仕上げた状態でお渡ししますが、表情や雰囲気の好みは、お客様ご本人やご家族が一番分かっていることもあります。

私が「いい」と思う写真と、お客様が「欲しい」と思う写真は、必ずしも同じではありません。だからこそ、そこを一緒に確認したい。手間はかかりますが、喜んでいただけるポイントでもあります。フリーランスだからこそ、そういう寄り添い方ができると思っています。

小林 伽奈さんがPCで撮影データを確認している様子

写真館での経験は、今の撮影にどう活きていますか?

最初はアシスタントとして、ライトを動かしたり、写真のセレクトや編集、仕上げ作業を手伝ったりしていました。婚礼や学校撮影なども経験しました。写真館での仕事は、撮影技術だけでなく、段取りや品質を安定させる力が必要です。

個人の撮影では、お客様に寄り添う時間を多く取ることができます。一方で、写真館で学んだ基礎や、限られた時間の中で形にする力も大切です。会社に入って撮影していた経験と、個人として丁寧に向き合う撮影。その両方があることは、自分の強みだと思っています。

企業向けの撮影にも活かせそうな経験はありますか?

写真館での経験として、プロフィール写真、学校、婚礼など、きちんと目的のある撮影に携わってきたことは活かせると思います。プロフィール写真であれば、その人がどう見られたいのか。採用や広報に使う写真であれば、見る人にどんな印象を持ってほしいのか。そういう目的を先に聞いた上で、撮影に入ることが大切だと思います。

現時点では、活動再開に向けて準備している段階です。ただ、個人向け・家族向けで培ってきた「緊張をほどく」「自然な表情を残す」という撮影は、企業のプロフィール写真や採用ページにも応用できる領域だと考えています。

小林伽奈さん撮影作品。家族が室内で新生児を囲んで笑っている写真
小林伽奈さん撮影作品
小林伽奈さん撮影作品。緑の中で花束を持つ女性を柔らかな光で写したポートレート
小林伽奈さん撮影作品
小林伽奈さん撮影作品。白い花に囲まれて眠る新生児の写真
小林伽奈さん撮影作品

小林さんにとって「写真」とは

その人の日常が、
未来の誰かを温かくするための記録。

これから、どんな撮影に取り組んでいきたいですか?

まずは、自分でしっかり基盤をつくって活動していくことが目標です。長野には自然が豊かで、撮影に向いている場所もたくさんあります。家族写真やロケーション撮影を、また少しずつ形にしていきたいです。

ゆくゆくは、自分一人だけではなく、同じように活動するカメラマンの方と一緒に、小さな撮影のチームや活動の場を作れたらいいなとも考えています。たとえばキッズ撮影会のように、まず写真を体験してもらえる機会をつくること。写真を残すことの良さを、もっと気軽に知ってもらえる場を作れたらと思っています。

写真を通して、どんな価値を届けたいですか?

家族写真であれば、お子様が大きくなったときに「自分の親は、この瞬間を大事に残してくれていたんだ」と思ってもらえるような写真を残したいです。お客様の人生に携わらせてもらうことは、とても大きなことだと思っています。

写真は、撮った瞬間だけのものではありません。何年も経ってから見返したときに、その場の空気や愛情が伝わることがあります。将来その写真を見た人が、少し温かい気持ちになってくれたら嬉しいです。

小林 伽奈さんの History
18歳頃Camera
カメラに触れ始める。実家が写真屋であったこともあり、写真が身近な環境にあった。
19歳頃Start
本格的に写真の道へ。長野県の老舗写真館で修業を開始。
約4年間Training
ライト、セレクト、編集、仕上げ作業を学び、婚礼・学校撮影なども経験。
その後Freelance
営業写真と個人撮影の両方に携わり、家族写真やロケーション撮影を行う。
現在Nagano
長野を拠点に、新たな撮影活動の再開に向けて準備中。
企業さま向け撮影について:企業さま向け撮影は3万円からご案内可能です。
※撮影場所・人数・撮影時間・納品内容により金額は変動します。そのため、時間固定の価格表ではなく、内容を確認したうえで個別にお見積もりいたします。
Interviewer's Note 権上 裕介(TOKYO LICKS 主宰)

小林さんの話で最も印象的だったのは、写真を「撮る技術」だけで完結させず、依頼者が安心して撮影日を迎え、納品後も納得できる状態まで設計していることでした。

事前ヒアリング、ロケーション確認、当日の空気づくり、撮影後のセレクト、レタッチ、スマートフォンで見たときの色味確認。どれも表には出にくい工程ですが、発注側から見ると、品質・納期・満足度を左右する実務そのものです。

私は、厚生労働省労働局で窓口業務や事業者対応に携わった後、現在はIT領域で要件整理や運用設計に関わっています。その立場から見ると、小林さんの強みは「感性があること」だけではなく、「依頼者の不安を先回りして減らす業務設計ができていること」にあります。

初めて会う相手と撮影を成立させるには、技術だけでなく、期待値調整・段取り・説明責任・納品品質の再現性が必要です。小林さんの仕事には、その一つひとつを丁寧に積み上げてきた形跡があります。

特に、撮影後に一度写真を見てもらい、依頼者自身に「残したい写真」を選んでもらう工程は、発注者目線でも大きな安心材料です。撮り手が良いと思う写真と、本人や家族、企業が残したい写真は必ずしも一致しません。

そこを一方通行にせず、共同作業として仕上げていく姿勢は、家族写真だけでなく、プロフィール写真、採用広報、店舗・チーム紹介などの撮影にも応用できる価値だと感じました。

一方で、本記事では過度に「すぐ依頼できる」「企業案件に全面対応できる」と見せる表現は避けています。現在は長野を拠点に、活動再開と発信体制の整備を進めている段階でもあるためです。

TOKYO LICKSとして重視しているのは、掲載者を大きく見せることではなく、本人の実績・現在地・対応可能性を誠実に伝えることです。そのうえで、小林さんの写真には、自然体を引き出すための準備力と、依頼者の記憶に寄り添う仕事観がある。そこは、発注を検討する人に十分伝えるべき価値だと考えています。

取材・編集 / 権上 裕介(TOKYO LICKS 主宰)